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東方神起茶屋

東方神起(二人)に対する歪んだ愛と腐女子のオタク心を片隅で叫ぶブログ 同時に平和について真剣に訴えていきます。歴史修正主義、差別主義、絶対NO! 
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※ユノがヴァンパイアに狙われる、という妄想小説です。苦手な方は読まないで下さい。
完全自己責任でお願いします。
今までのお話 1  2  3  4  5

Pure Blood 6
 
「ヒョン?」
チャンミンは教会の扉を開けて、小さな声で呼んでみた。
教会の奥の席で祈りを捧げるユノの姿が見える。チャンミンの声は聞こえなかったらしく、一心に祈りを捧げている。
その姿があまりに美しく、熱心なので、チャンミンはそのまま声をかけずに待つ事にした。
今日は、スティール写真の撮影で郊外に来ていたが、待ち時間の間にユノが近くに建っていた教会に行ってくる、と言って撮影現場を離れたのである。
撮影の準備が出来たのでチャンミンが呼びに来たのだが…
『待ち時間が過ぎたのに気が付かないなんて珍しいな』
とチャンミンは思いながらユノを見つめていた。
「あの方のお知り合いですか?」
後ろから声をかけられたので、チャンミンは少し驚いて振り返った。
そこには初老の牧師が優しい笑顔をうかべて立っている。
あの方、とはユノの事らしい。
「はい、そうです。呼びに来たのですが、まだお祈りの最中みたいなので…」
「とても熱心に祈ってらっしゃいますね。あなたは?」
「いえ、私はクリスチャンではありませんから…」
「…ふむ…それでは、これをあなたにあげましょう」
「え?」
そういって牧師はチャンミンの手のひらに小さな銀の十字架を乗せた。
「でも、これは…」
チャンミンは少し肩すかしをくらった感じで牧師に返そうとした。が、
「持っていなさい。肌身離さずに」
牧師の真剣な眼差しと強い言葉に、何かを感じて口をつぐんだ。チャンミン自身「持っていなければいけない」と直観を覚えたのである。
「チャンミン、迎えに来てくれたのかい?」
ユノがチャンミンに気づいて早足で駆けてくる。
「…撮影の準備が出来ましたよ」
「あ、もうそんな時間になってた?ゴメンゴメン」
「…いえ、いいんですよ…行きましょう」
「うん、では牧師様、ありがとうございました。失礼します」
「いえ…何か困った事があればいつでもいらっしゃい」
「はい、ありがとうございます」
ユノとチャンミンはお辞儀をして教会を後にした。

***

撮影の後、ユノとチャンミンは別々のスケジュールが組まれていて、二人は別れてそれぞれの仕事に向かった。
ユノがホテルの部屋に戻った時、チャンミンはいなかった。
お風呂に入ってしばらく待っていたが、「仕事が長引いている」というチャンミンからのメールが届いたので、先に眠る事にした。
しかし、ユノは夜中にいきなり目を覚ました。
ベッドから起き上がると、身体が勝手に動いて部屋を出て行く。
まだ、チャンミンは戻っていなかった。
真っ暗なリビングを横切り、バルコニーに向かう。
バルコニーに黒い人影が見えるが、ユノはバルコニーの窓を開けて、その影を招きいれた。
『どうして…』
ユノは自分の身体なのに、自分の思うように動かせなくなっている事に気づいて呆然とした。
黒い影が部屋に入ってくる。近づいてくるにつれてユノは恐怖を感じて後ずさった。
しかし、背中が壁について、それ以上動けなくなる。
真っ直ぐに影を見つめ、近づいてくるのを見ているしかない。
黒い影はカートだった。
『…この人は…人間じゃない…』
恐怖心がこみ上げてきて、急速に身体が冷たくなる。
「どうした…ユノ…?震えている…」
優しい口調だが、否を許さない支配者の響きをもった声だ。そして、ユノは動けない自分を感じている。
カートの冷たい手に顎を掴まれ、その冷たさにユノは思わず目を閉じた。
「…君は私に逆らえない…そうだろう…ユノ…」
カートの冷たい唇がユノの唇に触れる。
彼の口づけは血と死の味がした。

***

「ダメですね~チャンミンさん」
マネージャーが車のボンネットを開けて、そう呟いた。
チャンミンの乗った車が、ホテルの帰り道の途中、いきなりエンストを起こして止まってしまったのである。運転していたマネージャーはいろいろ試していたが、車はまったく動かなかった。
「すぐにタクシーを呼びますから、それでホテルに戻って頂けますか?」
「いいよ、ホテルは次の通りだからここから歩くよ」
「すみません、でも、大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ、危険地帯じゃないし、大通りだから人が大勢いるし」
NYとは言っても、人通りも観光客の多い場所なので、あまり危険はなかった。
「そうですね。では、お願いします。私はレッカー車を呼びますから」
「ええ、気を付けて」
チャンミンは歩き出して、通りの角を曲がった。そこで、チャンミンは異常に気付いた。
人が絶えない筈の通りに誰もいなかったのである。
車も一台も走っておらず、人の声も、何の音も聞こえず、映画のセットのような光景が目の前に広がり、チャンミンは立ち尽くしていた。
そして、遠くの街灯から明かりが消えていく。
チャンミンは恐怖を感じて建物の傍に駆け寄った。壁を背にして消えていく明かりを見ているしかない。
『いったい、なんなんだ、これは!』
鼓動が高鳴り、息使いが激しくなる。
ゆっくりと自分に対して闇が迫ってきた。その闇の中から獣の息遣いが聞こえてきた時、チャンミンの恐怖は膨れあがった。
その時、チャンミンはコートのポケットが熱くなっている事に気づいた。
『なんだ?!』
慌ててポケットの中を探って取り出すと、それは今日、牧師からもらった十字架であった。明かりがすべて消え、闇が完全にチャンミンを包み込むと同時に、その十字架がものすごい光を放つ。
チャンミンは目を固く瞑ったが、周りから獣の叫び声と何かが崩れるような音が聞こえた。
再び沈黙に包まれた、と思った次の瞬間、車と人の声がチャンミンの耳に入る。
チャンミンがゆっくりと目を開けると、そこにはいつもの光景が広がっていた。
NYの大通り。車と人が行きかい、音楽や笑い声が聞こえる見慣れた道に戻っている。
チャンミンは激しく高鳴る心臓と、荒い息遣いを整えようと深呼吸をしてみたが、なかなか治まらない。
硬く握りしめていた手に気づき、開いてみると、そこには灰があった。
あの十字架が灰になっていたのである。
風に飛ばされていくそれを見つめながら、チャンミンはハッとした。
「ヒョン?!」
別の恐怖がこみ上げてきて、チャンミンはホテルに向かって駆け出した。
 


※やっと終わりが見えてきました~;





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