※萩尾先生の某漫画が元になった妄想小説です。
嫌な方は読まないようにお願いします。
完全自己責任でお願いします。
プロローグ 1 2 3 4思い出の棘5「チャンミン…ちょっと…」
歌のトレーナーに手招きされてチャンミンは練習部屋の隅に駆け寄った。
「なんでしょうか?」
「いきなりなんだけど…チャンミンはユノと二人で東方神起になれって言われたら嫌か?」
「…え……」
心臓が飛び上がったのが分かった。
ユノといっしょに…東方神起になる…まるで夢のような話である。
「な、なんですか…ユノヒョンと…僕が?」
「う~ん…そういう話が出ているんだ…ユノ以外のメンバーはSMを離れる事が決まりそうで…」
「そうなんですか…」
ユノがどれだけ悲しむだろう、と考えるとチャンミンは胸が痛んだ。
「それで、誰か他のメンバーとユノが組んで新しい東方神起を結成させないかって話になっているんだが、その新しいメンバーにチャンミンの名前があがっているんだよ」
「…そ、そうなんですか…」
心臓がバクバク高鳴る。
「でも…ユノが反対しているんだ…」
「え……」
チャンミンの気持ちが一気に急下降した。
…ユノヒョンが…反対……
あからさまにしょんぼりしているチャンミンに気づいてトレーナーは慌てて付け加えた。
「決してチャンミンが悪いって言っているんじゃないよ。ユノはチャンミンの為にならないだろうって言っているんだ」
「どういう意味です?」
「チャンミンはどう?ユノと東方神起をやっていく気はある?」
「はい…」
もし、自分が東方神起のメンバーになってユノといっしょにやっていけたら…
ユノを助けていけるのだったら…これ以上に嬉しいことはなかった。
「じゃあ、ユノと二人で話してみてくれないか?幹部の人から言われるよりその方が話やすいだろう」
トレーナーに言われて、チャンミンはユノと話をする事にした。
ユノがいる部屋を教えてもらって、チャンミンは急いで練習部屋を飛び出した。ユノがいる部屋のドアをノックすると、ユノから返事があったのでドキドキしながらドアを開く。
「チャンミン?どうしたの?」
いつもと変わらない笑顔を見せるユノだったが、チャンミンは少し腹がたってきた。
「あの…ユノヒョンは…僕が東方神起になるのは嫌なんですか?」
「…あ…その話か…チャンミンが嫌なんじゃないよ…チャンミンの為によくないって意味だよ」
「どういう意味ですか?」
「…リスクが高い…」
「リスク?僕の実力が伴わないから?」
「違うって…チャンミンは歌も上手いし、ダンスも上手いし…背も高いしカッコ良いし…」
チャンミンはユノに褒められて顔が火照ってきた。
「…東方神起って名前は少し暗い歴史がついてしまった…そのグループの名前を背負うより、真っ新なグループで始めた方が絶対チャンミンの為になるよ」
…じゃあ、あなたは…?ユノはそのグループの名前を背負っていくんですか?一人で…?
「きっとチャンミンは人気者になるよ…誰にも愛される歌手になるよ…」
「そうじゃ…ないんです…」
「うん…?」
「僕は…人気者になりたいんじゃないんです…僕は…」
そうだ…僕がこのSMに入ったのはユノの側にいたいからだった…
もちろん、今は真剣に歌手としてやっていきたいと思っている…けれど…
「ユノヒョンの助けになりたいんです…」
「…チャンミン……」
「僕じゃ駄目ですか…頼りないですか…?」
「違うよ…むしろ…逆だよ……」
「逆…?」
「…チャンミンに頼り過ぎちゃうんじゃないかって…それが怖い…」
「頼っていいんです…」
「…え……?」
「頼っていいんです。僕はユノヒョンいつも助けてもらった…頼ってばかりだった…今度は僕がユノヒョンを支えたいんです…」
「……………」
「ユノヒョンといっしょに東方神起をやっていきたい…」
「……………」
「そりゃ…僕はまだまだ役不足かもしれない…でも苦しみや悲しみを半分に分け合うようになりたい…嬉しい時楽しい時は倍に出来る…そうやって頼り合って、支え合って…それが本当のメンバーじゃないですか?」
「…チャンミン……」
チャンミンは無意識にユノを抱きしめた。
その時初めてチャンミンはユノと同じくらい自分の背が高くなっていると気づく。
……チャンミン…愛してるよ………
初めてユノが歌手だと知った時。
あの時ユノが自分にそう言ったのは、可愛い弟としてだったのだろう…
でも、今の自分は……
チャンミンは自分がずっとユノを愛していた事に気が付いたのだった。

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