米南部テネシー州のオークリッジは、第二次世界大戦中に米国が原爆を開発した「マンハッタン計画」が実施された町です。同計画の開発施設群は昨年、国立歴史公園になりました。その施設の一つで、今も核兵器開発に関わる「Y12」の増強が検討されており、市民が抗議しています。広島への原爆投下から71年目の8月6日、Y12前には黄色や緑や青のリボンを持った市民が並び、核兵器開発を止めるように訴えました。Y12は広島に投下された原爆の原料となるウランを処理した施設です。戦後も「信頼できる核抑止力の確保が主要な使命(ホームページより)」として核兵器開発を進めています。国立歴史公園を代表する施設の一つです。米エネルギー省は、Y12の増強・修復を以前から計画し、来年度予算では前年比で倍近い額を要求しました。政府が今後30年かけて行う核兵器近代化の一環です。「原爆投下を賛美する公園にはしない、というのが政府の説明です。ところが核兵器開発の施設はますます充実させる。矛盾を感じます」こう語るのは地元の反核平和団体「オークリッジ環境平和連合(OREPA)」のラルフ・ハチソン氏です。「歴史と現在を切り離して考えていることが問題です」マンハッタン計画の歴史を展示した「アメリカ化学・技術館」を訪れてみました。焼け野原になった広島・長崎市街や大やけどを負った被爆者の写真がありました。しかし「原爆投下は戦争終結を早めた」と説明し、展示の大部分は同計画の「偉業」に力点が置かれています。一方で公式パンフには「原爆投下が倫理的に正しかったのか、今日も議論されている」という一文もあります。原爆開発の町として発展したオークリッジは「核兵器を正当化する空気が根強い」(ハチソン氏)といいます。それでもOREPAのメンバーは、Y12の増強に反対して州選出の連邦議員に要請するなどしています。ハチソン氏は「オバマ大統領は広島で被爆者と会い、核兵器のない世界を呼びかけました。それならば、施設の増強は止めるべきです。公園の展示も最低限、被曝の実態や原爆は戦争終結に必要なかったことなど歴史に正直に語ること期待したい」と強調しました。(H28.8/15 新聞記事より抜粋)
原水爆禁止世界大会の海外代表:ジョルディ・カルボ・ルファンヘスさんより
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「武器や核兵器は何故なくならないのでしょう。私たちは軍事予算が重要な原因の一つであると考えます。軍事関連の大企業は「安全保障の為、もっと軍備を増やすべきだ」と政府に圧力をかけ、予算をつけさせます。これを受けて隣国もまた「自国が脅威にさらされている」とさらに軍備を増強します。このように悪循環が続き、軍備拡大競争が終わることはありません。では、核兵器を廃絶する為にはどうするばいいのでしょう。問題の根源である軍事予算を絶つ事が必要です。予算がなければ武器を買う事も開発することも出来ません。IPB(国際平和ビューロー)は世界の多くの平和運動と共同で「世界軍事費キャンペーン」を進めています。軍事関係に使われるお金を減らし「人間の安全保障」の為に使おうという呼びかけです。2015年世界の軍事予算は約1兆7000億ドル(約185兆円)世界のGDP(国内総生産)の2.3%にあたります。このお金を医療、福祉、介護、教育など、私たちが安心して暮らせるために使うのです。武器や核兵器をなくし、格差や貧困を解消することこそが、結果として最も効果的な安全保障となるのです」PR