※萩尾先生の某漫画が元になった妄想小説です。
嫌な方は読まないようにお願いします。
完全自己責任でお願いします。プロローグ 1 2
思い出の棘 3「東方神起のバックダンサーをやってみる気はあるかい?曲によってはコーラスも担当するかもしれない」
事務所の先生に呼び出されて、そう言われた時は、チャンミンはすぐに信じられなかった。
言葉を失っているチャンミンの様子を誤解したのか
「嫌なら断ってもいいよ」
と、先生が言ったのでチャンミンは慌てた。
「い、いえ!よろしくお願いします!」
「じゃあ、後で詳しい日程表を渡すよ。次の皆での打ち合わせにも参加してね」
「は、はい!」
部屋を出たチャンミンの足取りは軽く、胸はドキドキ高鳴りっぱなしである。
(バックダンサーって事はツアーに同行するんだよね…)
ユノの近くにいる事が出来る…
夢のような話で、チャンミンはまだ実感が湧かずにいた。
が、時は容赦なく過ぎて、あっという間に打ち合わせの日になった。
メンバー、他のダンサー、バンドメンバー、スタッフなど全員が介する日である。
チャンミンは緊張しながら共にバックダンサーに選ばれたミノとキュヒョンといっしょに来ていた。
実際にユノに会うのは二年ぶりである。
座って隣のスタッフと談笑するユノは相変わらず綺麗で笑顔が眩しかった。
でも、チャンミンからは遠くて…ユノはこちらに気づいてくれない…それが少し淋しい…
「東方神起のツアーに参加できるなんてすごいよね。俺たちも素敵なライブを出来るように頑張らないとな」
隣のミノの言葉でチャンミンはハッとした。
(そうだ…俺たちの出来のせいで東方神起のライブを台無しにする訳にはいかない。全力で頑張らないと)
チャンミンは改めて気を引き締めて打ち合わせに臨んだ。
その後の練習も熱心に打ち込んだ。
さすがトップレベルの東方神起のライブでのダンスもコーラスもレベルが高くて大変だったが、弱音をはく人なんて一人もいなかった。
全員が「素晴らしいライブ」を作り上げる事に集中していたのである。
そして、東方神起のメンバーといっしょに練習する日がやってきた。
チャンミンは二年前に言われた時のようにはなるまい、といつも以上に集中した。
そして、練習が終わった時、ユノはチャンミンに声をかけてくれたのだった。
「チャンミン…すごくうまくなったね」
「…え…そ、そんな…」
「前に会った時はやる気がなさそうだったのに。すごく上手くなっていて驚いたよ」
「い…いえ…歌で…誰かを幸せに出来たらすごく素敵だなって…」
「うん…?」
「…僕のつたない歌で誰かが幸せになってくれたら僕も幸せになれる…それに歌が好きだって気が付いたんです…」
「そうか…」
「あ、すみません…えらそうな事言って…」
「ううん…すごく素敵だよ…そんな気持ちになれるなんてチャンミンが素敵だってことだよ」
ユノが笑顔を自分に向けてくれるので、チャンミンは心臓が止まるかと思った。
「ユノ、マネージャーが呼んでるぞ」
「あ、うん今行く。それじゃあ皆ありがとうございました。また、よろしくお願いします」
ユノが去っていってしまっても、チャンミンはしばらくそこから動けなかった。
あまりに幸せすぎて…
